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介護の生成AI、加算や制度の質問はどこで確かめる? 介護の生成AI、加算や制度の質問はどこで確かめる?

AI関所 2026.10.08 約6分で読めます 合同会社てん

加算の要件や率を生成AI(文章で答えるAI)に聞いたら、それらしい答えが返ってきた。けれど今も正しいのか分からない、という訪問介護やデイサービスの管理者に向けて書きました。

結論から書きます。加算や制度の質問は、生成AIの答えを入口にとどめ、いつ時点の情報かを厚生労働省の文書と指定権者(事業所を指定した都道府県や市町村)で確かめてから使えば足ります。

この記事は、AI導入の判断を一緒に行う「AI関所」を運営する合同会社てんが書きました。私は介護の専門家ではありません。厚生労働省の文書の範囲で整理しています。利用者の記録にAIを使うときの線引きは「介護のAI活用、小規模事業所の介護記録に使ってよい?」に書きました。

加算の質問の確認先の早見表

知りたいことの種類ごとに、確かめる先が決まっています。 次の表は、厚生労働省の「令和8年度介護報酬改定について」のページに載っている文書の種類をもとに、私が整理したものです。

知りたいこと確かめる先例(2026年10月7日時点)
単位数・加算率厚生労働省の告示と、改定ページの概要資料令和8年厚生労働省告示第87号
算定の要件の細かいところ厚生労働省の通知処遇改善加算の「基本的考え方」(令和8年3月13日 老発0313第6号)
要件の読み方で迷うところ厚生労働省のQ&A令和8年度介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)
新しい通知が出たか厚生労働省の「介護保険最新情報」の掲載ページVol.1479(令和8年3月13日)で上の通知とQ&Aを周知
届出の期日・様式・自分の事業所の扱い指定権者の介護保険の担当課処遇改善加算の体制届出は、居宅系サービスなら原則として算定を始める月の前月15日まで

生成AIは、長い通知のどこを読めばよいか見当をつける入口として使います。答えに文書名が出ても、その文書を開いて読むまでは届出に使いません。

介護報酬は、年度の途中でも変わる

介護報酬は年度の途中で変わることがあり、生成AIの答えがどの時点の制度かは、答えだけでは分かりません。 令和8年6月には、令和9年度改定を待たずに期中改定(定期の改定の間に行う改定)がありました。

厚生労働省の分科会資料(令和8年1月16日)によると、改定率は+2.03%です。処遇改善加算の対象を介護職員から介護従事者に広げ、生産性向上や協働化に取り組む事業者向けの上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)を設けました。その結果、同じ「処遇改善加算Ⅰ」でも、算定する月で率が違います。

サービス令和8年4月・5月令和8年6月以降
訪問介護加算Ⅰ 24.5%加算Ⅰイ 27.0%/Ⅰロ 28.7%
通所介護加算Ⅰ 9.2%加算Ⅰイ 11.1%/Ⅰロ 12.0%

出典は、厚生労働省の処遇改善加算の「基本的考え方」(令和8年度分)の別紙1です。生成AIが訪問介護の加算Ⅰを24.5%と答えたとしても、令和8年5月までの率としては合っています。2026年10月の届出や計画に使うなら、6月以降の表で確かめます。

同じ分科会資料は、令和9年度介護報酬改定でも物価や賃金の上昇を反映する対応を行うとしています。令和9年度の内容は、告示が出るまでは検討中の段階です。

生産性向上推進体制加算は、サービスの種類で当てはまるかが変わる

テクノロジーの導入に関わる加算も、事業所のサービスの種類で当てはまるかが変わります。 質問の前提がずれていると、答えもずれます。

生産性向上推進体制加算は令和6年度改定で新設され、(Ⅰ)100単位/月、(Ⅱ)10単位/月です。厚生労働省の改定資料が示す対象は、短期入所系・居住系・多機能系・施設系のサービスです。訪問介護と通所介護は、対象に入っていません。要件のテクノロジーには、見守り機器、インカム、介護記録ソフトウェアなどが挙がっています。

一方、令和8年6月からの処遇改善加算Ⅰロ・Ⅱロには「令和8年度特例要件」があります。訪問・通所サービスなどは、ケアプランデータ連携システムの利用が要件の1つです。申請の時点では加入・利用の誓約でもよく、令和9年3月末までに利用して実績報告で報告します。

「デイサービスで生産性向上推進体制加算を取るには」という質問は、前提が合っていません。デイサービスの管理者が確かめるべきなのは、処遇改善加算の特例要件のほうです。

生成AIの答えを使う前の3つの確認

生成AIの答えを使う前に、「いつ時点か」「どの文書か」「自分のサービスに当てはまるか」の3つを確かめます。 個人情報保護委員会も令和5年6月2日の注意喚起で、生成AIの応答に不正確な内容が含まれることがあると書いています。

確認見ること例
いつ時点か答えが何年何月の制度を前提にしているか処遇改善加算の率は、令和8年5月までと6月以降で違う
どの文書か告示・通知・Q&Aの名前と番号が実在し、中身が合うか改定ページで文書を開き、該当の表や問を読む
自分のサービスに当てはまるかサービスの種類、算定する月、届出先訪問介護と通所介護で率が違う。届出の期日は指定権者に確かめる

加算の質問に、利用者の名前や病名を入れる必要はありません。サービスの種類と算定したい月だけで聞けます。

よくある質問

生成AIの答えに「厚生労働省のQ&Aによると」とあれば、信じてよいですか?

Q&Aの名前と問の番号を手がかりに、厚生労働省のページで原文を開いて確かめます。令和8年度の処遇改善加算のQ&Aは、2026年10月7日時点で第1版が載っています。版が変わると答えが変わることもあるため、版の番号も見ます。

指定権者に問い合わせるとき、何を伝えればよいですか?

介護保険の事業所番号、サービスの種類、算定したい加算と区分、算定を始めたい月を伝えます。読んだ通知の名前と該当の箇所も伝えると、確かめたい点が相手に伝わりやすくなります。

令和9年度の改定の内容を、今から生成AIに聞いてもよいですか?

論点を知る入口としては使えます。ただ、告示が出る前の資料は検討中の内容です。届出や計画に使うのは、厚生労働省の改定ページに告示と通知が載ってからにします。

まとめ

加算や制度の質問は、生成AIの答えを入口にとどめます。単位数と率は告示と概要資料、要件は通知、読み方はQ&A、届出は指定権者で確かめます。令和8年6月の期中改定のように率が年度の途中で変わるため、答えがいつ時点のものかを最初に確かめます。

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この記事を書いた人

疋田 悠人(ひきだ ゆうと)です。合同会社てんの代表で、AI導入の判断を中小企業の経営者と一緒に行う「AI関所」を運営しています。介護の専門家ではありません。この記事は制度の助言ではなく、厚生労働省が公開している文書をもとにした整理です。

出典・参考

  1. 令和8年度介護報酬改定について (厚生労働省・2026年10月7日確認)
  2. 令和8年度介護報酬改定について (厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第253回 資料1・令和8年1月16日・2026年10月7日確認)
  3. 介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分) ほか (厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1479・令和8年3月13日・2026年10月7日確認)
  4. 令和6年度介護報酬改定の主な事項について (厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第239回 資料1・令和6年1月22日・2026年10月7日確認)
  5. 介護保険最新情報掲載ページ (厚生労働省・2026年10月7日確認)
  6. 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等 (個人情報保護委員会・令和5年6月2日・2026年10月7日確認)
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